小川学術参考林

茨城県北茨城市に小川学術参考林という落葉広葉樹の保護林がある。農水省森林総合研究所が中心となって10数年間にわたって精力的な調査が続けられている。わが研究室でもいくつかのプロジェクトでお世話になっている。今回は、今年から始まった科研の現地での打ち合わせと、総合地球環境学研究所のプロジェクト研究用の試料採集のため、訪問した。科研は、ポリネーターに付着している花粉を一粒ごとに遺伝解析して、その働きを評価するというものである。昆虫のタイプごとにポリネーターとしての機能、つまり、運ぶ花粉の量や、花粉の質、花粉の遺伝的多様性などに違いがあるとされてきたが、本当なのだろうか?今回の科研で、小川で行うのはホオノキを対象に開花期に毎日のフェノロジーを観察し、花を訪れる昆虫を採集し、昆虫のタイプごとに詳細な解析を行うというものである。M木君がほぼ1ヶ月現地にこもり、精力的な観察と採集を行う予定である。
 もう一つは、総合地球環境学研究所のプロジェクト。人為インパクトによって森林生態系の多様性がどのような影響を受けるか評価するものである。いろいろなやり方があるのだろうけれど、今回試みようとしているのは、土壌中の生物の多様性を見るものだが、普通のやり方で種の同定を行うことは多大な労力を要するので、土壌に含まれるDNAの多様性で評価しようというものである。これはH嘉さん担当。
 森林総合研究所のS田さんと東北大学のS山さん、そしてM木君などと研究の進め方について話し合う。小さなプロジェクトだけど、まさに少数精鋭という感じで、あれよあれよと話が発展していく。S山さんは配分した研究費(少額ですみません)を、実に有益に使われるようだ。また、2人とも企画書以上のネタを考えてくださいます。やっぱ、プロジェクトはこうでなくてはね!いい研究になりそうだ。
 小川はそれほど頻繁に訪問するわけではないが、いつ訪れても良い場所だ。