古いサンプルの楽しみ

古いたくさんのサンプルたち。どれを選んで解析すべきか。サンプリング場所をGPSデータをもとに地図に落とす。
もちろん、そんなことはずっと前から行っていた。白地図の上に種ごとに異なった印で場所を示して。
でも、もうちょっと分かり易いようにと、試しにGoogle Earthに点を落としてみたのだ。
Google Earthのすばらしさは皆さんご存じの通り。でも、特に目的がなくていじっていても、「地球上にはいろいろな地形があるものだ」、「人のインパクトは大きなものだ」、等々の感想ですんでしまうのだ。少なくとも私は。
しかし、数年前に大変な苦労をして訪れた数々の採集場所をGoogle Earthに落としてみれば、、、これは、全く別の悦楽があるのだった。
大スケールの地形が広がり、道のほとんど無い場所で、もちろん詳細な地図など入手できない。あるのは、その時にとったGPSデータだけ。そういうデータをGoogle Earthに入力すると、もはや二度と訪れることもあるまいと思っていた、あの地形、植生がスクリーン上に現れるのだ。
例えば、こんな。

詳細な地図があれば、時々等高線を眺めて、当時を思い起こすことができるのだろうが、もちろんそんなものはない。従って、地形は頭の中の記憶にあるのみ。そういう状態だったのだ。本日まで。しかし、本日午後に、スクリーンに現れたこの地形を見て、唸ってしまった。この地形は、まさに7年前の8月下旬、日も暮れかかった時間に、孤立した集団のサンプリングのために訪れたあの場所だ。
図の右下の部分で車を降りて、くるぶしまで埋まる砂道を急いで歩く。頼りになるのは1時間前に別れたレンジャーが描いてくれたいい加減な地図だけ。案の定、谷を間違えたりもした。あのときの思いがよみがえってくる。
そして、左上の部分に件の小群落があるのだが、驚くべき事に、

10本に満たない樹木で構成されている、その群落がしっかり写っているのだ。そうだ、この群落だ。薄暗くなった谷の中で見つけて、小躍りして駆け寄った群落は。
とまあ、たった一ヶ所でもこれだけ楽しめる。
本日は、専攻教授会、学会運営打ち合わせ、出版物編集打ち合わせ、依頼メール作成、等々、色々あったのだけれども、その合間を縫って、とりつかれたようにサンプリング場所のデータをGoogle Earthに入れてみた。そして、それぞれの場所で、深〜い感慨に耽ったのであった。
まあ、楽しみだけでなくて、普通の地図には載っていないような細かな地名も知ることができて、サンプルのデータファイルを分かり易く整理できるというのもGoogle Earthの良いところだ。記憶に残っている、地形との照合から、GPSデータの精度が怪しくなっているものまで見つけることができた。何という世の中だ!
さて、Google Earthはこれぐらいにして、、、Mさんの行っていたヤチシャジン解析も1週間でかなり良いデータがとれた。
あ〜、まだ書いて送っておくべきメールが色々あるなあ。さて、過去の世界から現実へ戻るとしよう。