シンポジウム、筆債、打ち上げ

いや〜久しぶり。

朝9時から生態学会シンポジウム「花粉一粒の直接遺伝解析から見えるもの」を行う。

花粉一粒からDNAを抽出し、複数座位の遺伝子型を決めるという手法を生態学的研究にいかに利用するかというもの。低コストかつ簡便に行うことができるのだが、手法の論文が今年に出たばかりで、論文の形で報告された例はない。

本シンポジウムでは、簡単なイントロダクション(井鷺)と手法の説明(陶山さん)に続いて、手法を野生植物集団に適応した報告が4つ(松木、長谷川、綿野、近藤の皆さん)あった。

それらは、これまで全くなされてこなかったもので、大変興味深いものだった。今回紹介されたものは単純な解析例が多かったが、この手法は今後更に仮説検証型の解析にも用いられるだろう。どのような展開になるか楽しみだ。

花粉一粒に含まれるDNAが半数体となっている事を利用してどのような研究の展開が可能か、清水さんによる紹介も興味深いものだった。半数体DNAを解析に用いるメリットについては、手法論文を書くときにいろいろ考えて列挙したのだけれども、清水さんの講演にはその時に思いつかなかったものもあり、実に聞いてためになるものだった。こちらのアプローチも今後の展開が楽しみだ。

そういうわけで、シンポジウムのつたない進行役をしていても十分に楽しめた2時間30分だった。

終了直後にSpringerから本シンポジウムの内容を単行本にしないかというお誘いを受ける!

シンポジウムを面白く聞いていただけたということだろう。ほとんどの聴衆にも有意義な情報を提供できたのではないかと思う。

Springer本の原稿に関しては、原著論文を出してからだろう。来年初めから原稿の準備を始めるというところかな。

あ〜あ、書いてしまった。すでに義務が生じてしまった。先日、他分野の方(主要研究業績が物理的に立つ本、すなわちハードカバーの本を書くことである分野)と話していたら、こういう状態を「筆債」と呼ぶそうだ。約束したが最後、何も借金をしていないのにもかかわらず、書けないと世にも悪いことをしたかのごとく負い目ができ、編集者の人に責められる、もしくは会い難くなるのである。とうわけで、講演者の皆さんよろしく!

シンポジウムは午前だったし、300人近くいた聴衆の何人が参加するかもわからないし、土地勘も無いしで、打ち上げの飲み会は考えていなかったのだが、やらないのか?なぜやらない?といわれっぱなしだったので、することにした。すでに講演者や聴衆は大会会場(あるいは会場外?)に散らばっているので、ほとんど伝言ゲームで集合場所を伝え、参加者を募った。臨時宴会部長さん(2,3名いたみたい。どうもありがとう!)の尽力もあり、20数名参加の盛会となった。


宴会部長さんご尽力証拠写真なり。