週末から週明け

11月3日(金)は、広島大学総合博物館開館記念講演会で「希少植物の宝庫、西条盆地−その現状と保全−」という演題で講演。東広島キャンパスの周りに成育する30種ほどの希少植物の現状と保全策について。
一つ一つの希少種について、生活史や遺伝特性を少しでも調べるといろいろなことがわかってくる。卒論や修論のテーマで扱い、大変興味深い発見があった。今、何とかすれば保全できるような種や成育地も多い。愛すべき多くの分類群や生育地について、多くの話すべき事があるのだが、持ち時間は1時間あまり。早口で息もつかずにたくさん喋りすぎて、あれじゃあ一般の人はヒクよ!というコメントもありました。反省。
土日は家庭でいろいろ用件をすませた。
月曜日午後2時より地球環境学堂で行われたPrimackの講演会に出かける。
地球温暖化が生物や生態系に与える影響を実証するためには、現在と過去の状態を比較することが有効だが、過去の生物の挙動(例えば100年前のフェノロジーとか)に関するデータは思いの外少ない。
では、どういったところから比較解析に耐えるデータを得るか、という内容の講演だった。
一つのデータ源として紹介されていたのが「森の生活」でおなじみのソロー(日本人は「ソ」にアクセントを置いて発音するけど、Primackは後にアクセントを置いていた。ソロオウという感じ。)だ。ソローは、生物季節に関する多くの記録を残しているそうだが、そのデータと現在の生物の挙動を比較すると、春に開花する植物で8日程度開花が早くなっているという。アメリカ人にとってソローは大変重要な人物であり、その人物が100年以上前に観察したフェノロジーと現在のそれを比較して温暖化の効果を解析することは大変説得力のあるものになるという。
もう一つ印象的だったことは、「保全に関わる科学者は研究をして、いいジャーナルにいい科学論文を書くだけではダメである。環境保全の重要性を一般の人々に説得できるか否かということを常に考えていなければならない。良い写真というのはそういったアピールという点では素晴らしい効果があり、私は常々そのような写真が撮れるよう考え、工夫している。この写真はすでに何度も雑誌や新聞に取り上げられた。良い写真というのはそういう力がある。」という内容の話だ。
素晴らしい。せいぜい、良い写真が撮れるよう努力したいものだ。というわけで、フィールドでカメラばかりをいじっていても、あーあ、またやってるよ、などと咎めないよ〜に!
火曜日午前11時より、S水さん、S井さん、T内さんと研究打ち合わせ。昼食にソバ屋に行き、再び研究室に戻り、3時すぎまで。楽しい話で、時間があっという間に過ぎてゆく。