放射能レンズ??

写真用レンズは各種収差を補正するために、屈折率の違うガラスを組み合わせています。そのようなガラスを得るために、いろいろな種類の金属をガラスに混合させる事が行われています。私たちに馴染みの深いクリスタルガラスには、数割といったレベルの鉛が含まれています。ガラス内の金属は簡単には外にとけでる事はないと言え、口に当てるものです。大丈夫なんでしょうかね。

今は、もう行われていないらしいのですが、ほんの30年余り前までは、放射性の金属を用いる事も盛んに行われていたそうです。古いレンズの前にガイガーカウンターをあてると、それはそれは賑やかに反応するとの事。ガイガーカウンターはそんなに身近にあるものではありませんが、この様な放射能レンズを見分ける簡単な方法が、ガラスの変色です。レンズの色がだんだんと黄色くなってくるそうです。

1960年代のキャノンのFLレンズにもそのようなレンズがあり、FL 50mm F1.8などは放射性物質を含むガラス素材のおかげで、大変よく収差が補正されていたそうです(念のためですが、放射能のために性能がいいわけではなくて、ガラスの屈折率を変えるために用いた物質に放射能があったという事です)。キャノンFL 50mm F1.8といえば、昨年まで持っていましたが、確かに黄色く変色していました!

そういえば、古いレンズでもう一つ、激しく黄変していたものがありました。シグマ 55mm F2.8というマクロレンズです。購入したのは1970年代です。黄色いフィルターでも入っているのかと思うほど黄色くなっています。これもいわゆる放射能レンズなのでしょうか?放射能レンズから出てくる放射線のレベルは、有害というものではないそうですが、ここ、20年以上全く使っていないので、もう処分する事にしましょう。