一生読める本

研究室の本箱の端においてあるのだけれど、いつも読むわけではない。でも、時々、手に取り、開いたページから適当に読んで考える。そういう本がある。
マルクス・アウレーリウス「自省録」神谷美恵子訳、岩波文庫
訳者序に曰く「プラトーンは哲学者の手に政治をゆだねることをもって理想としたが、この理想が歴史上ただ一回実現した例がある。それがマルクス・アウレーリウスの場合であった。大ローマ帝国の皇帝という地位にあって多端な公務を忠実に果たしながら彼の心はつねに内に向かって沈潜し、哲学的思索を生命として生きていた。」
そういう人が、心に浮かびゆくことを自分自身のために書き留めたというものだ。ほとんどのページには、それぞれ独立した短い複数の項が含まれている。どのページを開いても、考えるきっかけとなるものが見つかる。