土門拳

土門拳は、戦後、木村伊兵衛とともに一時代を築いた写真家だというが、もちろん、リアルタイムでの活躍を私は知らない。この二人、周りも本人たちも互いをライバルとして認識していたと言うが、作風はずいぶん違う。私は、圧倒的に土門拳が好きだ。特に、脂がのりきったときに病に倒れた後、小型カメラでフットワークを活かした撮影ができなくなり、大型カメラを運んで各地の寺院を訪ねて撮った作品群が。いずれも絞りを小さく絞り、ぎりぎりと音がしそうな強い写真である。土門は多くの文章も残しているが、被写体への思い入れの強さには恐れ入るものがある。

土門拳 強く美しいもの―日本美探訪 (小学館文庫)

土門拳 強く美しいもの―日本美探訪 (小学館文庫)

文庫本でこのような本が出ているのを最近発見した。偏屈オヤジ(にちがいない)土門拳の文章は愉しく、対象物は全然違うけれども、俺も自然を強く描写するぜ!と、写真へのテンションがあがるのだ。